• テキストサイズ

君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】

第210章 210




シャワーを浴び、朝食をとって出かける支度を整えた二人は、龍之介の車での現場へとやってきていた。

「大丈夫?」
「うん、行かないとね」

まだ時間に余裕はあるが、早めにメイクを済ませてわずかに残る痣の痕を消さねばならない。
それでも一人になることにまだ若干の恐怖心があるようだ。

「、楽屋まで一緒に行こう」
「でも龍くんもこれから打合せでしょ?」
「俺はまだ時間余裕あるから」

だから安心して。
そう言って微笑む龍之介に甘えすぎてはいけない。
けれど、ここでうだついていても互いの時間を迫らせるだけである。

「じゃあ今日だけ、お願いします」
「任せて。さ、行こう」

車を降り、手を繋いでスタジオへと入る。

「ちゃん、おは、よ…十さん?」
「おはようございます」
「おはようございます!」

手を繋いだまま楽屋へと入れば、より早く楽屋入りしていたスタイリストとメイク担当が龍之介の姿に驚く。
二人を上から下まで眺め、そして繋がれた手に目を見開く。
が、そんな二人の驚きは取り敢えず置いといて、とと龍之介は向かい合って額同士をすり合わせる。
変な悲鳴めいた声がスタッフから漏れた。

「、もう大丈夫?」
「うん。あとから万理さん来てくれるって言ってたから」
「分かった。帰り、時間合ったら迎えに来るからね。頑張っておいで」
「ありがとう。龍くんも頑張ってね」
「ありがとう、じゃあ、行ってきます」
「ん。行ってらっしゃい」

微笑み口付けを贈り、未だ呆気に取られているスタイリストとメイク担当に一礼してから龍之介は去って行く。

「…ど、どゆこと?」
「ちゃ…彼氏ってまさか…?そんな気はしてたけど!」
「はい、十さんとお付き合いさせて頂いてます」
「私が散々彼氏彼氏って話してたの、全部十くんだったの?!」
「はい」
「なるほどぉ…十くん女見る目あるわ。さて、大神さんから事情は聴いたけど、ほっぺどう?」

事件に巻き込まれたことは告げず、頬の痣は高熱による眩暈で派手に転んだことにしたそうだ。
湿布をはがせば、メイク担当はこれなら綺麗に隠れるね、と微笑む。

「綺麗な肌にこんな痣つけてぇ」
「隠せる程度まで治ってきてて良かったぁ。さて、メイクと着替えしますよー」
「はーい」

/ 1123ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp