第9章 翻弄される宿命
「失礼します…」
執務室へ入るとジル様は机に肘を付き頭を抱えていた
ジル様は顔を上げゆっくり口を開いた
「国王が…息を引き取りました…」
「……レオから…伺いました」
張り詰めた空気に動悸が激しくなる…
「宣言式は終わったのでプリンセスは正式にシュタインへ嫁ぎました
実質この国の政治を行う者は誰もいません」
「新しい国王を…決めるという事ですか…?」
「国王をすぐに決める事が出来ない上にこの国のプリンセス制度を利用しても素人がすぐに政治を行う事は不可能です」
「確かに…そうですね…」
私は今日シュタインへ帰るのに…
こんな話しされても困る…
「あなたはプリンセスの専属騎士として宣言式後はシュタイン城へ移ると伺いました…」
ゼノ様…
頼んでくれたんだ…
「はい、今後もプリンセスをお守りさせて頂く為、シュタインへ移る決意を致しました」
「ですが………
あなたがシュタインへ移る事は…容認出来ません」
!?
「なっ…何故ですか!?」
「国王、プリンセス不在の今…………
あなたにはこの国の"女王"として政治を行って頂きます」
何それ………
私は頭の中が真っ白になった
「いえっ…そんなっ、私にはそこまでの器なんてっ」
気が動転して自分でもなにが言いたいのか…
言葉にならない…
「クロエ……あなたは賢く、強く、美しい
あなたが女王となりこの国の政治を行うことに反対する者など誰もいません」
確かに…
私はゼノ様の秘書と騎士を務めていた為大体の事は何でも熟せる…
だけど
シュタインへ一緒に帰る約束…
果たさないと