第8章 絶望前夜
準備が終わり私は自室に戻った……
「疲れた…」
一人呟くと扉をノックする音が聞こえた
「ユーリ…」
ユーリは部屋に入るなり私を捲し立てた
「アラン様と仲良さそうにしてたけど何だったの?
それに前は一緒にドレス姿で踊ってたし
クロエはアラン様の事も好きなの?」
私はカチンときた
「良く言うよね、ユーリだってホールでプリンセスと仲良さげに笑いあってたじゃない」
「それは仕事だから仕方無いでしょ」
「あぁ、そう
明日から私と会えなくなるのに良くニコニコしてられるよね!!」
「仕事だからだってば!」
「本当はシュタインに帰れるのが嬉しいだけで
私の事なんてもうどーでも良いんでしょ!」
ガシャン!!
私は声を荒げ花瓶を割った
飛び散る破片で脚を切り血が滲んでいく
「クロエの馬鹿!」
!!
ユーリは私を壊れる程キツく抱き締めた
「なんでわかってくれないの…?
俺がどれ程クロエの事愛してるか…
わからないの…?」
ユーリの声は震えていた
「ユーリ…離して……苦し...ぃ」
本当は言い合いなんてしたくないのに
どうして私はこんな事言ってしまったのだろう……
「わからないなら教えてあげる…
俺がどれ程クロエを愛してるか」
「ユーリ…っ!」
ユーリは私を抱き締める腕を緩めず
唇に噛みつくようなキスをした
唇を割り口内を犯してゆく
息が出来ない…
苦しい…
頭がクラクラする…
片手で夜着のベビードールの肩紐を外され私の素肌が晒された
ベビードールは私の身体をすり抜け床へ落ちてゆく
酸欠で崩れそうな私の身体を支えながら
ユーリは私をベッドへ押し倒した
私の手首を掴み荒々しいキスを繰り返していく
「んっ…ゆっ…り…」
私の手首を離して自らもブラウスのボタンを外し素肌をさらけ出した
「クロエ…愛してるっ」
眉間に皺を寄せ悲痛な表情を浮かべていた
「私もっ…ごめんね…酷い事言って…」
そう告げた瞬間涙が溢れ出た
「クロエ…俺も…ヤキモチ焼いてごめん…」
私はユーリの首に腕をまわし
ユーリも応えるように優しく抱き締めてくれた