第7章 足枷
ルイ様は片膝を付き
私の背中から腕を回し抱き寄せる体制になった
片手で傷口を抑え
片手でコルセットのリボンを解き緩めていく
背中が少しずつ開いていき夜風に晒された
私はルイ様の肩口に顔を埋め痛みに耐えた
「……ルイ?」
ルイ様を呼ぶ声がし顔を上げるとプリンセスが立っていた
プリンセスは私達の姿を見て、
信じられないと言わんばかりの表情をしていた
「プリンセス…」
プリンセスは踵を返し走り去って行く
プリンセスは私が負った傷と反対側から見ていた
コルセットのリボンを解くルイ様を見て逢瀬と勘違いしているに違いない……
「ルイ様…!追って下さい!」
「あとで大丈夫…」
「でもっ…私のせいで、勘違いされたんじゃ…」
「大丈夫だから……行こう…」
コルセットが緩んだのを確認すると
私はルイ様に支えられ医務室に向かった
医師曰く、傷は思ったより深く肉を抉っていたようで止血を施され
貧血を起こしていた私は医務室のベッドで横になった
始めにルイ様が止血をしてくれたおかげでそこまで酷い貧血にはならなかったもののこのまま放置していたら悪化していたらしい
「ルイ様…ありがとうございます、
お召し物も汚してしまってすみませんでした」
私を支えてくれたルイ様の袖口にべったりと血痕がついてしまった
「何で謝るの?…俺こそ、こんな目に合わせてしまって…」
ルイ様のせいではないのに…
「いえ……騎士としてお護りするのは当然の務めですから…」
「実は……さっきみたいな事…昨日もあったんだ…
俺は誰かに命を狙われてるらしい…」
ユーリだ…
婚姻の任務を遂行するために…
暗殺するつもりだ……
「そう、ですか…私で良ければルイ様をお護りさせて下さい…」
「女性に護ってもらうなんて、俺は出来ないよ…
ありがとう」
ユーリとは後で話そう…
物騒な事で無く、平和的に任務を遂行させたいと
「力及ばずで…申し訳ありません…ルイ様、プリンセスの所へお戻り下さい」
「そうだね……また君の顔、見に来るよ…ありがとう」
ルイ様は医務室から出て行った