第6章 揺れる想い
私は着て来た服を紙袋に入れた
「あっ…」
高いヒールでドレスの裾を踏んでしまい
転倒しそうになった
「おっと…危ねっ」
アランの腕に受け止められた
「ごめんなさい…」
アランはふっと笑うと私の前で片膝を着き手を差し出した
「お手をどうぞ、プリンセス」
私、プリンセスじゃないのに……
仕立て屋さんが私たちを見て微笑んでいた
アランに手を重ねると私は馬に跨った
町の人々の視線が一気に私に注目した
「プリンセスだー!」
「凄い!きれいー!」
子供たちの声が聞こえ私は笑顔で手を振った
「アラン…私プリンセスじゃないのに、いいのかな…?」
「誰がどう見たって今のおまえはプリンセスだろ」
笑顔で告げられ私もつられて笑った
「あと一つ…クロエに見せたいものがあるんだ」
私とアランは馬を走らせ町外れの野山を目指した
次第に一面のラベンダー畑が見えてきた
「凄い…」
ラベンダーの香りに包まれ馬から降りた
アランと寄り添い夕暮れ時のラベンダー畑を眺めた
「アラン…ありがとう…」
どちらともなく唇を重ね、背に腕を回した
「本当は次の休みに連れて来ようと思ったんだけど…気に入ってくれてよかった」
私は暖かい気持ちで心が満たされていった
「…日が暮れる…そろそろ帰るか」
城を目指し馬を走らせた
城門の前に着くとゆったりとした音楽が聴こえてきた
日が暮れてダンスパーティーが始まっていた
私とアランは馬を降りると城門を護衛していた騎士に馬を預けた
騎士は私の姿を見て驚いていた
その様子を見てアランは笑った
楽しいな……
アランの手を取りホールへ向けて歩いていく
私たちがホールへ入ったところで次の曲が流れ始めた
アランにリードされステップを踏んでいく
私はゼノ様と踊るのを夢見て少しだけ練習した事がある程度で…
アランは何処で覚えたんだろう
アランの瞳には私だけが映っている…
私もアランの熱い視線から目が離せずにいた