第6章 揺れる想い
ふとステップを外し誰かと背中がぶつかってしまった
「ごめんなさいっ!」
私は振り返った
カシャンっ
足元に髪飾りが落ちた
あ…
振り返った視線の先には
美しいブロンドの髪とロイヤルブルーの瞳…
綺麗な男性だった
「余所見するな」
アランの不機嫌そうな声が飛び私は視線をアランに戻しステップを踏んだ
曲が終わると
周りが私とアランに注目している事に気が付いた
「あ…アランどうしよう…みんな見てる…」
騎士団長のアランとNo.2の私が優雅にダンスなんてしていたら好機の目で見られても仕方ないだろう…
「護衛に戻るか」
アランは去って行った
私は先ほどぶつかった男性を探す
凄く綺麗な人だった…
どうしても気になる…
あ…
その男性はプリンセスに腰を回し上品に微笑んでいた
もしかして…
あの人が
ルイ=ハワード……?
「ねぇ、どーゆー事?」
私は不意に肩を掴まれ振り返った
「ユーリ…」
「なんでクロエとアラン様が踊ってたの?
騎士団の任務じゃないよね?」
ユーリはあからさまに不機嫌そうだった
「ユーリ!」
プリンセスがユーリを呼ぶ声がし
ユーリはめんどくさそうにプリンセスへ向かって行った
プリンセスの隣りにはまだ綺麗な男性が寄り添っていた
プリンセスもあの人もとても幸せそうに…
私へダンスを申し込む貴族が集まってきた
嫌だな…
私はホールを出て中庭のベンチに座った
なんだか
夢みたいな一日だったな…
アランと城下を歩いて
綺麗なドレスを纏って
プリンセスと呼ばれて
ラベンダー畑を眺めて…
これが普通の幸せなのかな
私はゼノ様に尽くし、愛され、抱かれることだけが幸せだと思ったけど……
私の中で一つの疑問が生まれた