第62章 ※遠い初めての夜
杏「…すまない、菫…本当にすまない!痛かったろう!!」
杏(菫は一度も痛みを訴えなかった…我慢させていたのか!!)
破瓜の血を知らない杏寿郎は、ちり紙で拭い取っても拭い取っても血が出てくる事に酷く動揺した。
頬に汗が伝う。
杏(菫を壊してしまった!!)
「……何がでしょうか…?」
引き抜かれて脱力していた菫は、少しぼんやりとしながらも何故か自身を案じる杏寿郎の心配をした。
対して杏寿郎は止まらない血に青くなっている。
杏「君の血が止まらない!中を裂いてしまったようだ!!取り返しのつかない事を…すまない……!!」
「え……、」
一方、破瓜については知っていた菫は杏寿郎の取り乱しっぷりを見て慌てて身を起こそうとした。
しかし、杏寿郎がそれを止める。
杏「寝ていなくては駄目だ!!すぐに医者を、」
「落ち着いて下さいませ!!」
菫の凛とした声に杏寿郎は動きを止めた。
菫は杏寿郎が一旦落ち着いてくれた事を確認すると、ちり紙で秘部を押さえながら身を起こし、血が付いてしまっている杏寿郎の手を濡らした手拭いで丁寧に拭ってやった。