第60章 初めての宴
(あ…、)
微笑む義勇が食べているのは鮭大根であった。
(なるほど…。しのぶさんはこの事を知っていたんだわ。)
見ればしのぶは、笑った事をきっかけに他の柱とコミュニケーションを取れた義勇を見てほっとしているようだった。
杏「冨岡もそのような顔をするのだな!!とても良い笑顔だ!心が温かくなる!!」
杏寿郎がそう言いながら義勇の隣に座ったので、提供が一段落ついた菫もしのぶと蜜璃の元へ行った。
「お邪魔して良いですか?」
その言葉に蜜璃としのぶは嬉しそうに頷いた。
蜜「それで…菫さんはいつ祝言を挙げるの…?」
蜜璃の声は遠慮しているような色を孕んでいたが、瞳は期待に輝いていた。
菫はそれを見て眉尻を垂らして微笑んだ。
「実は今日の日程がなかなか確定しなかったのは、嫁ぐ準備を整えていたからなんです。でももうそれも終えました。明後日は煉獄家へお伺いし、祝言について詳しく決める予定です。」
し「そうしたらまた集まれますね。今度は煉獄さんの生家で。」
蜜「千寿郎くんに会えるの楽しみだなあ!」
広間で弾む会話はどれも明るいものであった。
戦いが良い終わり方をしたとはいえ、これ迄に仲間を失わなかった者はいない。
それでも皆は明るい未来を見ようとした。