第60章 初めての宴
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天「清水、ちょっとこっち来い!」
その呼び声に、蜜璃としのぶと話していた菫は首を傾げながら天元に視線を遣った。
「…ちょっと行ってきます。」
蜜「はーい!」
し「また戻ってきて下さいね。」
笑顔を返してくれる二人に微笑むと、菫は天元の元へ向かった。
杏「………………。」
実弥と義勇の仲を取り持っていた杏寿郎は菫の様子が気になって目で追った。
杏(確かに宇髄は以前、菫にあまり良くない対応をした事があるが、それは俺の反応見たさの為だった。)
『ならば、』と思うと杏寿郎は菫から視線を外し、『その事についてだが誤解があったようだぞ!』と義勇の擁護を続けた。
実「誤解だァ?あんだけはっきり言ってりゃ誤解も何もねぇだろォがァ…。」
杏「そう言わずに聞いてやってくれ。…冨岡。」
杏寿郎が優しく芯のある声を掛けると義勇は少し俯いて小さく口を開く。
義「……俺が皆とは違うと言ったのは…、俺が皆とは違って柱になるべき人間じゃないと思っていたからだ。」
天元はそんなやり取りから視線を外すと側に来た菫を見つめた。