第60章 初めての宴
「……?」
菫が首を傾げながら左腕を杏寿郎の体から離すと、杏寿郎の右手がするすると下の方へ伝っていった。
そして、二人は辿り着いた先、菫の薬指を見つめた。
互いに生き残る事を誓って嵌めていた指輪は今はそこに無い。
杏「もうすぐだな。」
「……はい…。」
そこに嵌っていた指輪はもうすぐただの結婚指輪として戻ってくる。
二人は菫の左手から視線を外すと自然と見つめ合い、そして幸せそうに微笑み合った。
―――
天元の気遣いから少し経った後、杏寿郎と菫は仲睦まじそうに微笑み合い、会話をしながら料理を持って広間に戻って来た。
広間では皆が席を自由に移動して様々な会話を交している。