第60章 初めての宴
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天「清水、こっちの皿もう空になるわ。」
「はい。すぐお持ちします。」
天「あー、それなんだけど今から違うの作ってくんねー?」
菫は少し首を傾げながらもすぐに頷いた。
「何かご希望がお有りでしょうか。」
そう問うと天元は『男の力と時間が要る料理だな。』と言って杏寿郎と菫の背を押して炊事場へ向かった。
そこまでされれば杏寿郎達も天元が何を考えているのかぐらい察する。
杏「角田さん達に飲ませたのは酒だけではないのか?」
天「んー。」
「あの、でも…流石にここまで二人切りになるのは、」
天「良いから黙ってイチャついてろ。思い出の場所なんだろ。」
そう言うと炊事場へ入って菫の背をドンッと押す。
「…ッ」
杏「何を!」
杏寿郎が転びそうになった菫を既のところで抱き留めると、天元は片手を上げて去って行ってしまった。