第17章 真実
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そうして二人は更に一ヶ月、それぞれの生活を続けた。
しかし、隠し事はいつか分かられるものだ。
とうとう "その日" は来てしまった。
その日は杏寿郎と菫が出会った日のように、月が大きく綺麗な夜だった。
薬草を届けに蝶屋敷を訪れた菫は長い時間杉本に捕まってしまい、負傷した杏寿郎は蝶屋敷を目指していた。
腹が減っていた杏寿郎は全速力を出して蝶屋敷に着くと、屋敷の入り口に立って中に声を掛けようとした。
その時―――、
「これ以上はお止め下さいませ…!」
聞こえてきたのは菫の声だった。
杏(何故菫さんが蝶屋敷に居る。)
「仕事に差し支えます…。お願いします。今日はもう…、」
急いで縋るような声を辿る。
そして声の出処だと思われる部屋の前に着くと、断りも入れずに戸を開けた。
―――ガラッ
すると、其処には杉本に組み敷かれた菫が居た。
菫は戸の方を見ると目を見開く。
「えん、ばしら…さま……。」
杏寿郎は "炎柱様" と呼ばれた事に驚くより前に杉本の肩を掴んで菫から引き剥がした。