第60章 初めての宴
しのぶと菫が居る廊下は杏寿郎の居る広間よりも玄関に近い。
二人は顔を見合わせた。
「噂をすれば、ですね。」
し「お会いするのは甘露寺さんが退院されて以来です。」
「………………。」
し「………………。」
そして、二人は結局気になって玄関へ迎えに行ってしまったのだった。
―――ガラッ
開けた戸の向こうには蜜璃と小芭内が立っていた。
そして――、
「…蜜璃さん、もしかして…、」
し「伊黒さん…それ…、」
二人は揃いの指輪をしていた。
蜜「あ、これは…、私…思いが通じ合ったら舞い上がっちゃって…。その……気が付いたら式を挙げていたの…。」
(…気が付いたら……、)
その言葉を聞いて小芭内を見ると、彼はどこか窶れているように見えた。
そうして二人が驚いているとすぐに杏寿郎もやって来る。