第60章 初めての宴
杏「痛いぞ、宇髄!」
天「良いんだよ、これは!」
天元はそう言うと緩い着こなしに戻し、興味を失ったように二人の護衛から目を逸らした。
その事に菫はほっとしたように肩の力を抜く。
「…杏寿郎さん、では宇髄さんのお相手を頼みます。すぐお茶をお出ししますので。」
その言葉は夫婦のやり取りを思わせた。
杏「ああ、分かった!ありがとう!」
杏寿郎は幸せそうにそう返すと、じっと観察するように見ていた天元に視線を移して首を傾げた。
杏「…何だろうか。」
その問いに天元は視線を逸らす。
天「いや。清水とはうまくいってんの?」
杏「うむ!明後日には俺の家で両家の顔合わせをする予定だ!菫自身ともとても仲良くしているぞ!」
にこにこと話す杏寿郎を天元は目を細めて見つめ、ほっとしたように微笑んだ。