第60章 初めての宴
天「旦那も見舞いに来てたな。」
杏「ああ!家族とも上手くいっている!最近は千寿郎の父上への接し方も随分と変わって、昨日は『型を見せてくれ』と強請っていた!父上は昔の俺を思い出したと言って泣いてしまわれたがな!!」
荒れていた槇寿郎しか知らない天元はそれを聞くと思わず吹き出した。
杏寿郎はその様子を見ると微笑みを浮かべたまま腕を組み、不思議そうに首を傾げた。
杏「君の方はどうなんだ!奥方は皆元気にしているのだろうか!」
天「ああ。相変わらず賑やかだぜ。」
そう言うと菫が運んできた茶を受け取り、視線を落として一口飲むとちらりと杏寿郎に視線を遣った。
天「平和過ぎて『こんな楽な思いをして良いのか』、なんて思うくらいだ。お前は?」
杏「特に思わないな!!」
天元は割り切りの良い杏寿郎に訊いたのが間違いだったと思いながら『あっそォ。』と言った。