第60章 初めての宴
照「ご無事で…、」
照子は震えた声を出しながら駆け寄ってくるとぎゅっと菫の両手を握った。
照「お疲れ様でした…!本当に…良かった…ご無事でよかったです…!」
菫はそれを聞くと申し訳無さそうに眉尻を下げながら小さく微笑んだ。
「すぐに挨拶に行かずすみませんでした。一度この街へ寄ったのですが、用があってゆっくり出来なくて…。」
その言葉に照子はふるふると首を振り、奥に向かって声を掛けて両親を呼んだ。
照「それはそうと…、」
照子は冷静さを取り戻すと後ろに居る三人もの男に目を遣った。
皆体が立派で迫力があり、照子は思わず喉をこくりと鳴らす。
菫はその様子を見て頬を緩ませた。
「私が此方の街に居た理由を思い出して下さい。」
そう言われると照子はパッと顔を輝かせ、三人それぞれの顔をじっと見た後、見事杏寿郎を選んで満面の笑みを向けた。