第59章 それぞれの
杏「…………。」
煉獄家に着いた杏寿郎は、すぐに声を掛けずに笑みを浮かべて門戸を見つめた。
暫く入れなかったその戸の向こうに行けるのだと思うと胸が一杯になったのだ。
杏(…うむ!!)
杏「父上!!千寿郎!!只今帰りました!!!」
杏寿郎は元気良くそう屋敷を震わせるような声を出した。
―――
千「兄上、本当にお疲れ様でした。」
杏「うむ!ありがとう!!」
杏寿郎はそう答えながら明るい笑顔を浮かべた。
槇「輝利哉様や菫さんにも聞いたが鬼舞辻だけでなく上弦の参や壱までも屠ったそうだな。」
猗窩座については知らなかった千寿郎は目を輝かせた。
杏寿郎はそんな視線に気が付くと困った様に笑いながら千寿郎の頭を撫でる。