第58章 休養―其の弐
蜜璃はただ口説くだけでなく、菫を巻き込み味方につけようとした。
そうしているうちに、詳しくは分からなかったものの、小芭内にも蜜璃への想いがあって、更に小芭内が自身に非がない理由で断っている事が分かった。
蜜「菫さんからも何か言ってくださいー!!」
蜜璃に泣きながら頼まれると菫はこくりと頷き、漸く口を開いた。
「蛇柱様がしていらっしゃる行為は自己満足です。」
開口一番にそう言うと二人は目を丸くして固まった。
そんな事に構わず菫は再び口を開く。
「蛇柱様、恋柱様が同じ理由で断っていらっしゃったら如何が致しますか。」
小「それは勿論、甘露寺なら話はべ」
「別ではありません。恋柱様も同じ気持ちで蛇柱様なら、と仰っています。貴方様は恋柱様の強いお気持ちをきちんと見ていらっしゃいません。彼女を想うのなら自身を卑下して身を引く前に、背負ったその業に勝る愛を持って応えてあげて下さい。頑張る方向を間違えないで下さいませ。」
小芭内は目を丸くして暫く菫を見ていた。
そして、ふと視線を外すと太腿の上に置いた手へ視線を落とす。
小「…少し、考えさせてくれ。」
小芭内の断る姿勢が頑なだった為、蜜璃はそんな返事にもパッと顔色を明るくさせた。
蜜「菫さん!ありがとう!!ごはんもとってもおいしいわ!」
菫は二人がうまくいく事を願いながら微笑み返した。