第58章 休養―其の弐
(…蛇柱様だわ。)
菫は蝶屋敷で世話をした女の子伝いに小芭内が少食である事を聞いていた為、特に勧めずに配膳していった。
蜜「わああっ!ここでも菫さんのご飯が食べられるなんて!」
「足りる量ではないかも知れませんが、まだ用意がございます。随時運んで来ますのでゆっくりとお召し上がり下さい。では私は外で控えています。」
菫はそう言うと廊下に出ようとした。
しかし優しい蜜璃がそれを許す筈はない。
蜜「まってまって!菫さん、せめて椅子に座ってください!!」
菫は必死な声に振り返ると少し戸惑った顔をしながらも椅子にすとんと腰を下ろした。
小「…………。」
「…………。」
(少し気まずい…。)
小芭内との接点がなく、只でさえその場に居て良いのか迷っていたのにも関わらず、蜜璃は再び小芭内に逆プロポーズを始めてしまった。
(……大胆だわ…。)
菫が呆気に取られていると小芭内が眉尻を垂らして菫に助けを求める。
(……………。)
「恋柱様。お食事を食べて下さるとうれし、」
そう言って口を止めようとするも、食事は魔法のように消えている。
「……次のお食事を用意して参ります。」
菫は小芭内に申し訳無さそうな視線を送ると席を立ったのだった。