第58章 休養―其の弐
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そんな交流を持ちつつ、数週間が経った。
そして炭治郎、義勇、実弥、蜜璃、小芭内は回復し、蝶屋敷を発つ事になった。
杏寿郎は外出許可を得ると炭治郎と善逸、伊之助、禰豆子と共に一度杏寿郎の屋敷に帰った。
荷物などを纏める為だ。
杏「少し感慨深いものを感じるな。」
杏寿郎は笑みを浮かべながらも静かな声を出した。
命を預け合った鬼殺隊士達はこれからばらばらになる。
滅多に会えなくなる。
炭「…そうですね。このお屋敷に来てももう煉獄さんには会えないんですよね?」
そう問うて見上げる炭治郎に杏寿郎はしっかりと頷いた。
杏「菫のお父上に『只の婚約者であるのなら一晩たりとも二人切りで過ごしてはならない。』と言われた。だが!!」
そう大きな声を出した杏寿郎は輝く笑顔を浮かべていた。
杏「一日だけ許しを貰ったんだ!直ぐにとはいかないようだし、二人切りでは過ごせないが、約束した面々と共に此処で一晩話し合える機会を与えて下さった!!」
炭「わあ!」
炭治郎は杏寿郎の笑顔を見てぱあっと温かい笑顔を返した。
炭「それは良かったです!!」
そんな会話をしていると先に荷物を纏めていた善逸が廊下へ出てくる。