第58章 休養―其の弐
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「お食事をお持ちしました。」
菫がそう断ると、中へ入るようにとすぐ杏寿郎の声が返ってくる。
「失礼します。」
覗いた先の杏寿郎の病室には、炭治郎達だけでなく禰豆子も座って待っていた。
菫の顔色がパッと明るくなる。
「お誕生日おめでとうございます、禰豆子様。」
そう言うと禰豆子は『禰豆子でいいですよー。』と言いながらふんわりと笑った。
それから五人に豪勢な食事を振る舞うと、菫は休むように勧める杏寿郎に首を横に振った。
「まだお食事を届けたいお方がいるのです。」
―――
蜜「どうしてぇー…」
菫が蜜璃の病室の前に立つと、蜜璃の鼻声が聞こえてきた。
―――コンコンッ
「恋柱様、お食事をお作り致しましたが如何でしょう。」
そう声を掛けると蜜璃はすぐに『頂きたいです!!』と答えた。
「失礼致します。」
菫が丁重に病室の戸を開けて礼をすると、小芭内が困った顔をしながらベッド脇に座っていた。