第58章 休養―其の弐
―――
そして、杏寿郎達に比べたらましであるものの、まだ安静にしているように言われていた義勇は蝶屋敷を抜け出し、姉の蔦子と親友の錆兎の墓参りに行っていた。
義(鱗滝さんも来て下さると手紙をくれた。あまり長居せずに蝶屋敷へ戻ろう。)
義勇はそう思うと珍しく微笑んで墓に供えた花に触れた。
同じく墓参りをしたく思っていたのは無一郎だ。
両親、そして兄の有一郎の元へ早くすべてが終わったのだと伝えたかったのだが、何しろ片腕片足が飛んでしまっている。
そう易々と抜け出せなかった。
無(命があっただけありがたいけど…。)
そう思いながら黒死牟との戦闘を思い返す。
そして、死がすり寄ってきた感覚を思い出すとぶるっと身を震わせた。
無(仲間がいてくれて良かった…。)
そう思うと鬼殺隊で得た絆に小さな笑みを浮かべたのだった。
そうして皆は戦いの後だからこそしたい事、すべき事をこなし、新しい日常に思いを馳せるようになった。