第57章 闘いを終えて
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驚くべき事に、無限城で戦った隊士達は誰一人として命を落としていなかった。
更に、呪いが解けたことで余命幾ばくかしかなかった耀哉も健康な体を取り戻すことが出来た。
それよりも前に奪われてしまった命までは戻らないけれど、一番良い結果になったと言えるだろう。
そして、その報せは藤の花の家紋の家にも伝えられ、俊彦を通じて菫の家族にも伝わった。
千「兄上!!」
杏「千寿郎!!!」
杏寿郎は病室の戸を開けた千寿郎を見るとパッと輝く笑顔を浮かべて体を起こした。
「杏寿郎さん…!」
杏寿郎は千寿郎が駆けて来る前に菫を振り返り、手招きをして耳に口を寄せた。
杏「強い兄でいさせてくれ。」
それを聞いた菫は困ったように笑った。
千「起きて大丈夫なのですか!?酷い怪我だと聞きました!」
杏「うむ!少し横になったら大方治ったぞ!!」
千寿郎はベッドの脇に立つと眉を寄せながら杏寿郎を見つめた。