第57章 闘いを終えて
「良かったです…。思ったより早くお父様とお話出来ましたね。」
菫がそう言いながら立ち上がって椅子を用意すると、杏寿郎は菫に片手を伸ばした。
「……?」
菫は椅子に腰掛けながらその手を握る。
すると杏寿郎は笑みを浮かべながら首を横に振った。
杏「君の頬を撫でたい。」
真っ直ぐな言葉に少し頬を染めながらも、すぐに少し屈んで杏寿郎の手に頬を当てる。
すると杏寿郎は優しく慈しむようにそれを撫でた。
杏「重國さんが反対していた理由は "鬼殺隊に入っているから" だった。もうお許しをくれるだろう。父上も許してくれた。千寿郎にも会える。君の言う通りになった。全てが解決した。」
その声色は温かく、嬉しそうで、菫は苦しいくらいにそれを愛おしく、そして尊く思った。
「杏寿郎さんがお体を張って手に入れた結果です。本当にお疲れ様でした…。」
そう言うと菫は杏寿郎の手のひらにそっと口付けた。