第15章 声
杏「何だろうか。」
「炎柱様が寛大でいらっしゃる事は存じております。ですが、謝らないと気が済まないのです。こういった場合はどうしたら良いのでしょうか。」
杏「気にしないことだ!!!」
杏寿郎はスパンと言うと箸を持つ。
菫はそんな杏寿郎を口を開けて見つめた後、ポケットから紙を取り出して言われた事を書き留めたのだった。
―――
杏「うむ!!」
杏寿郎は満足そうな笑顔を浮かべると、午後の鍛錬を切り上げて庭から屋敷へ上がった。
菫が用意していた手拭いで汗を拭き、すぐに居間へ向かわず自室に入る。
そして道着を脱ぐと隊服に着替えていった。
パリッとしたシャツが火照った体に気持ち良い。
ベルトを通し、釦を上まできちんと留めると口角を上げながら自室を出て居間へと向かった。
杏「今日も美味そうだな!この生活が当たり前になっていくのが怖いくらいだ!!」
「怖い、ですか?」
菫は少し首を傾げた。
すると杏寿郎は笑顔を浮かべて膳の前に膝をつきながら頷く。