第15章 声
杏「君の様な女性がいれば何も問題はないのだがな!」
「それならば自分を世話係として使って下さいませ!」
菫はそう言いながら少し前のめりになった。
一方、杏寿郎はその様子を見て少し困った様に笑う。
杏「だが、君もいつかは嫁を貰わなければならないだろう。」
それを聞いた菫は拳を握った。
「自分は結婚に対する意欲がありません…!異性にそういった感情を持てないのです…!」
杏「よもや。」
杏寿郎はそう言って少し固まった。
菫は少し間を置いて自身が今は男の振りをしている事を思い出した。
「ど、同性にもそういった感情を持った事はありません…!炎柱様をその様な目で見たりは…決して…っ」
それを聞いた杏寿郎は声を上げて笑いだした。
杏「うむ!そうだな!!君が恋慕の情無しに慕ってくれていたのは伝わっているぞ!!」
「……良かったです…。」
杏寿郎は菫が随分と纏う空気を変えてくれた事を嬉しく思った。
杏「だが、何も今決めなくとも良いだろう。将来についてはもう少しゆっくりと考えてくれ。」
「………炎柱様がそう仰るのなら、もう少し経ってからまた進言致します。」
菫が全く納得していなさそうな事を言うので杏寿郎はまた笑った。