第54章 嫉妬

杏「甘露寺！君もだ！上弦と戦ったのだろう！！」

蜜「うぅ。」


蜜璃は菫と禰豆子を見て眉尻を下げる。

菫は離れがたく思ってくれる蜜璃を愛おしく思った。


「お目覚めになりましたらまたお話ししましょう。お食事も沢山作っておきます。」


そう言うと蜜璃はぱああっと顔を輝かせて菫に抱き着き、『菫さん、大好き！』と言った。

そして菫が微笑みながら蜜璃を見送っていると、杏寿郎が縁側に上がってきた蜜璃の頭を撫でた。


「……………。」


元師弟関係であったのならそれ位普通だと思いつつ、撫でている時間が不要に長く感じた。

褒め言葉を贈っている間絶えず蜜璃を撫で続けている杏寿郎を見ていると、菫の眉がゆっくりと寄っていく。


禰「だい、じょうぶ…？」


禰豆子に心配されると菫はハッとして我に返った。


「禰豆子様…すみません。えっと…、確かあちらの方に金木犀も咲いておりました。見てみましょう。」


菫はそう言うと二人を見ないようにしながら禰豆子の手を取ったのだった。