第14章 醜い痣
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杏寿郎はやはり味噌汁を飲むと満面の笑みで "わっしょい" という妙な言葉を口にした。
そしてそれは毎日続いたが、菫は相変わらず杏寿郎に私的な質問を出来ないまま過ごした。
対して杏寿郎は気さくによく話し掛けた。
繊細な話題はあの夜以降一切出さなかったし、名前を聞き出そうとしても失敗が続いていたが、それでも杏寿郎は菫との距離が縮まったように感じていた。
―――そして、再び二週間が経った。
杉本はやはり蝶屋敷で菫を待ち伏せしていて、菫は部屋へ入れと言われれば素直に従った。
杉本は隠以外の隊士に対しては良い顔をする男だった。
それも三年と続いていれば強い信頼に繋がる。
圭(何で蟲柱様に報告しちゃいけないんだよ…。鬼狩り様は誰も気が付いてない。俺が…強ければ…、)
圭太は拳を握り締めながら菫が入って行ったドアを見つめた。
男「佐藤ー、お前サボるなよなー。」
圭「…………サボってねぇよ。」
圭太は力無い声を出すととぼとぼと作業部屋へ向かった。