第49章 進めたい関係
それから二人は体を離してこれからについて話した。
と言っても菫が二十三になるまでは鬼が居なくならない限り身動きが取れない。
重國は結婚を許さないだろうし、槇寿郎も会ってくれないだろうからだ。
「皆様に納得してもらって、皆様に祝ってもらいたいですね。」
杏「うむ!そうだな!」
そう話し合う二人はそれぞれの布団の上に正座をしたまま向かい合っている。
「………。」
杏「………。」
そして、互いに関係が変わった事によってどこまで触れて良いものなのかと測りかねていた。
そう意識すればするほど二人は畏まる。
一回離れた事を後悔した。
杏「…うむ!単刀直入に言おう!!君に触れたいのだが抱き締めても良いだろうか!!」
「は、はい…。」
恋仲の時から時折していた事であった為、菫はすぐに頷いて膝を進めた。
―――ぽすっ
菫が杏寿郎の胸に手をついて身を寄せると、ぶわっと鳥肌が立つような感情が湧き上がるのを感じた。
靡きそうになかった目の前の女性が、あと少しで妻になるのだと思うとどうしようもなく気持ちが昂ぶったのだ。
それでも怖がらせないよう、これ以上急がないよう、ゆっくり優しく自身を律しながら腕を回した。