第49章 進めたい関係
杏「…菫さん。」
「……はい。」
杏寿郎は菫の背をゆっくり撫でながら頭にすりっと頬擦りをした。
少しだけ菫の体が強張る。
杏寿郎は謝るように背をぽんぽんと叩くと思い切ったように口を開いた。
杏「そろそろ呼び方を変えたい。一度街で互いに呼んだろう。」
「……呼び方…。」
確かに夫になるのなら様付けを外す練習をしても良い筈だ。
しかし、菫は随分と長いこと様を付けて呼んでいる。
すぐには呼べなかった。
(杏寿郎…………さん。杏寿郎…、さん。)
なんとかそう心の中で復唱して練習してみる。
杏寿郎はそんな菫をゆっくりと待ってあげた。