第48章 青い彼岸花の薬
杏(何もかもしてくれていたのだろう。)
詳しい事はあまり想像しないようにしつつ、杏寿郎はとにかく菫を寝かせようとした。
しかし、余りにも外へ出たがるのでとうとう杏寿郎は部屋に入って布団を敷き始めた。
「あ、あのっ」
杏「女性の部屋に勝手に入ることを許してくれ。だが、このままでは本当に体を壊してしまう。」
「そんな事なさらないで下さい…!まだお体に何が起こるか…あっ」
杏寿郎は菫を抱きかかえると布団に強制的に寝かせた。
起き上がろうとすると肩を押さえ、掛け布団を掛ける。
杏「それ程心配なら俺も此処に居よう。まだ目眩がするので丁度良い。」
「目眩…。」
菫はそれを聞くと部屋をちらりと見てから杏寿郎の浴衣の袖を引っ張った。
「では杏寿郎様も此方でもう少しお休みになられて下さい。手を繋いでいて欲しいです。」
菫がまだ不安がっている事に気が付いた杏寿郎は、『そんな事をして良いのか。』という思いとの間で板挟みになって少しだけ固まった後、微笑んで承諾した。
杏(蝶屋敷の時とは訳が違う。此処は菫さんの部屋だ。本当に良かったのだろうか。)
そんな事を悶々と考えている間に布団は敷き終わってしまった。
菫が手を繋ぎたいと言った為に布団はなかなか近い距離に敷いてある。