第48章 青い彼岸花の薬
杏「………………うむ。」
杏寿郎は口角だけを上げてそれを認めると、耐える事を固く誓ってから考えるのを止めた。
「杏寿郎様。」
横になった菫が眉尻を下げながら手を伸ばす。
こんな我儘は此処での生活を始めた時には考えられなかった。
それに気が付くと杏寿郎は本当の笑みを浮かべた。
杏「ああ。しっかりと握っておく。安心して寝てくれ。」
その言葉に菫はホッとした様な表情を浮かべた。
杏(…すぐに寝てしまったな。余程疲れていたのだろう。)
深い息が聞こえるのに、手は杏寿郎を離さずにいる。
それが愛らしくて、菫をなるべく見ないようにしていた杏寿郎は天井を見上げたまま微笑んだ。
そうして杏寿郎は約三日で薬に順応したのだった。