第48章 青い彼岸花の薬
「………。」
抱き締められて杏寿郎の胸に耳を当てて初めて気が付いた。
杏寿郎の心臓は壊れそうな程に速く脈打っていた。
それに気が付くと菫の頬は一気に熱を持ち、脈もつられるように速くなる。
杏寿郎もその事に気が付いた。
杏「俺は今、いけない事をしているだろうか。」
「私が言えることではありませんが……恐らく…。」
杏「……そうか。」
杏寿郎は残念そうな声を出して笑うと漸く菫を解放した。
「……お食事は胃の負担にならないよう細かくしておきました。どうぞお召し上がり下さい。」
杏「うむ!ありがとう!!」
杏寿郎は寝ていた分を取り戻すように食べた。
それを見ていた菫の腹が鳴る。
杏「…………………………。」
「………………す、すみません。」
菫は謝罪をしながら、自身が前回いつ食事を取ったのか記憶がない事に気が付いた。
菫は何も言わなかったが、杏寿郎は勘付いてしまった。