第48章 青い彼岸花の薬
「!!」
菫は急いで食事を脇に置いて杏寿郎の側に膝をついた。
「杏寿郎様、私が分かりますか。食事の匂いに嫌悪感を覚えませんか。」
その言葉に杏寿郎は眉尻を下げながら笑った。
杏「いつも通り美味そうな匂いがするぞ。いや、いつもより芋の匂いが強い気がするな。」
それを聞いて菫は涙を溢してしまった。
杏寿郎はなんとか上体を起こすとその涙を拭い、菫の頭を優しく撫でた。
杏「外が明るくなってきているな。半日も寝ていたのか。」
その言葉に菫は杏寿郎の頬を優しく抓る。
「二日と半日です。」
杏寿郎は目を丸くする。
そして一気に覚醒した。
杏「そんなに経っていたのか!すまない、随分と呑気な事を言った!!」
そんな杏寿郎に菫は抱きつき、長く寝ていた杏寿郎は抱き留められずに後ろへ倒れてしまった。
杏「……菫さん。」
菫を胸の上に乗せたまま布団の上に寝てしまった杏寿郎は、今抱き締め返して良いものだろうかと困ってしまった。
菫はそんな事を考える余裕など無く、大きな安堵からさらにきつく抱き締めた。