第48章 青い彼岸花の薬
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「杏寿郎様…。」
菫は杏寿郎の額に汗が少し浮かぶ度に甲斐甲斐しく拭った。
「杏寿郎様、お食事を用意して参ります。」
朝が近付き、菫はとうとうそう言って酷い不安を覚えながらも杏寿郎の元を離れた。
鬼に近付いてしまっていたら人の食事は食べない。
菫はそうならない事を祈りながらいつもより芋を多く入れた。
「杏寿郎様、お食事が出来ました。」
しかし、杏寿郎は返事をしなかった。
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炭「煉獄さんもそうだけど菫さんも心配だ。」
善「寝てない、よな。食事も出してくれてるし…ありがたいけど…。」
伊「……。」
そう継子組が心配する中、菫は相変わらず甲斐甲斐しく杏寿郎の世話を焼いていた。
「杏寿郎様…、お食事が出来ました。」
菫がそう言って願いを込めながら襖を開けると、杏寿郎が薄っすらと瞼を上げた。