第46章 再会
―――
そうして継子を交えた生活が始まったのだが、開始から丸一日と経たない内に杏寿郎は炭治郎達を置いて屋敷を出ることになった。
清水家へ行くからだ。
その日は杏寿郎も暗いうちに軽く睡眠を取り、朝に屋敷を発った。
「ありがとうございます、父の都合に合わせて下さって…。」
菫がそう言うと杏寿郎はにこっと太陽の様な笑みを浮かべた。
杏「いや!今日の席に呼んで頂けただけでも有り難い!!」
「それは当たり前です。杏寿郎様がいらっしゃらなければ私はあの家へ戻れなかったもの。」
杏寿郎は菫が敬語を崩す度に口角をきゅっと上げて嬉しそうな顔をする。
菫はその顔がとても好きだったが、少しこそばゆくも感じていた。
杏「そもそも俺と出会っていなければ君は家を出なかっただろうがな!」
「命を助けて下さったのですから貴方様のせいで家を出たかのように言わないで下さいな。」
そう言って菫が困った様に眉尻を下げてしまうので、杏寿郎は微笑みながら頭を撫でた。
杏「うむ、そうだな!」
——————
そうして話しながら歩いていると、とうとう清水家の屋敷が見えてきた。
久し振りに見た生家に菫は身が震えるのを感じた。
杏「…行こう!皆待っている!!」
杏寿郎が菫の手を取ってしっかりと握る。
菫は目を大きく開いた後、微笑んで大きく優しい手を握り返した。
「はい!」