第44章 青い彼岸花
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俊「お館様に依頼されて一族を虱潰しに調べた結果、母の生家、豊橋家の家系図には花岡の姓を持つ嫁は随分と昔の女性であったと記されていました。それでも花岡家の当主があんな事になっていた事に恥を覚えた…。」
俊彦は帰りの列車でそう溢した。
それを聞くと杏寿郎は口角を上げた顔を向ける。
杏「貴方がそう思う必要はないだろう!何より有益な情報を得た!」
「お館様は如何なされるでしょう。」
杏寿郎は菫に向き直ると明るく微笑む。
杏「それはお館様にしか分かるまい!考えても仕方が無いだろう!!だがどんなお考えをお持ちでも俺は俺の意見を述べるつもりだ!!」
菫はその気持ちの良いさっぱりとした声色に微笑み返した。
しかし、その微笑みはすぐに消える。
(青い彼岸花…。あの時……何故蕾が咲いたのだろう。もしかして一面に咲いていた状況も関係があるのかしら…。)
そう悩んでいる菫を杏寿郎は大きな目でじっと見つめていた。