第44章 青い彼岸花
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藍「…………そんな馬鹿な。」
三人を見送りに外まで付いてきた藍佑はそう呟いた。
「……?」
三人が見つめる中、藍佑は興奮したように青い彼岸花の前に膝をついて花を観察した。
藍「一面に咲くなんて今まで無かった!!信じられない!そもそも一年に二、三日、それも昼間にしか咲かないんだ!それがこんなに、こんな数…!昨日は一輪も咲いていなかったのに!!」
「一年に二、三回…。」
そう言いながら菫が何気無く蕾に触れるとふわっと花が開く。
菫はぎょっとしてすぐに手を引っ込めた。
そして、藍佑に気付かれていないのを確認してから他の蕾にも触れてみた。
すると、やはりまた開く。
何度やっても全て開いていく。
「………………。」
菫はまるで『使え。』と言われているような気がし、喉をごくりと鳴らしてからぎゅっと拳を握って視線を足元に落とした。
杏「では俺達はこれで失礼する!!」
その声にハッとすると菫はお辞儀をし、杏寿郎と俊彦と菫は花岡家を発ったのだった。