第44章 青い彼岸花
藍「……それから花岡家はこの地に移って静かに暮らす事に決めた。この地に移ってこの地下室を作り、これを守ってきた。麓の村にも私達一族を追う者は危険だと噂を流した。だけど、私はそれだけじゃない。」
藍佑は興奮したようにそう言うと、更に奥へ行って鼠が入った竹籠を持ってきた。
先程の話を思い出した俊彦がビクッと体を跳ねさせる。
それを見て藍佑は急いで首を横に振った。
藍「私は慎重な人間だ!」
杏「だが実験はしたのだな。試さずにはいられなかったか。」
藍佑は少し罰の悪そうな顔をしながら頷いた。
藍「ごく少量であれば獰猛にならないし、普通の食事も食べる。 "こいつは" 仲間を食べようとしなかった。そして、何より丈夫になった。」
藍佑がどのような実験をして "丈夫" だと判断したのかは気分が悪くなりそうなので訊かなかったが、杏寿郎は徐に竹籠を掴むと階段の方へ向かった。
藍「な、何を!?」
杏「陽に当てさせてもらう。君のご家族のように村人も襲われたらどうするつもりだ。」
「貴方…なんて事を。」
俊「他のご家族は鼠に喰われたのか…。」
言い当てられた藍佑は青くなった。
藍「ま、待ってくれ…!今回のは本当に上手くいったんだ!まだ試したい事がある!焼かないでくれ!!」
杏寿郎はその言葉に眉を寄せながら振り返った。