第44章 青い彼岸花
杏「貴方のご先祖の物か。」
藍「一番古い物です。そこの四十九頁に…、」
そのページを読んでみたところ、藍佑の先祖は平安の時代から医者を生業としていて、時折東京へ出て来て新しい技術を学びに来るなど随分と熱心に働いていた事が分かった。
問題はその時の出会いだ。
その先祖は道端で座り込んでしまっていた若い女を介抱している時に、とある医者に『任せてくれ。』と言われた。
先祖は自身も医者である為に内心面白くなく感じながらも、試しに任せてみることにした。
するとその場で薬を調合して飲ませ、見事女性の体調を改善させたのだという。
藍「私の先祖は大変感心した。感心し、値踏みしようとした罪悪感から食事に誘った。そして…、その医者は『今、とても難しい患者を診ている。』と言った。」
先祖はこんなにも優れた腕を持つ医者が手を焼くなど、どんな病気なのかと気になった。
そして、その医者は、『次は "青い彼岸花" を使ってみようと思う。』と言い、手に入れたばかりの種を見せたと言うのだ。
杏(難病の患者と青い彼岸花の薬か。)
杏寿郎はその患者が誰なのかを考えながら口をきゅっと結んだ。