第44章 青い彼岸花
杏「失礼する!!」
俊「えっ」
俊彦が戸惑う中、背に隠していた刀を腰に差し直した杏寿郎が戸に手を掛けた。
―――ガラッ
信「うっ」
戸を少し開いた途端、むせ返るような血の匂いがした。
「まさか。」
杏寿郎が急いで戸を全開にして室内に光を取り込むと、血がいっぱい入った桶が置かれていた。
杏「鬼の気配は無い。人の気配はある。」
杏寿郎は短くそう言い、そして桶の血を見るとすぅっと大きく息を吸った。
杏「俺は鬼殺隊、炎柱の煉獄杏寿郎だ!!鬼でなければ鬼舞辻でもない!!この血が稀血であったとしても喰い付かないぞ!!!逃げるのを止めて出て来てくれ!!!そもそも!」
杏寿郎はそう言いながら物音がした家の奥へ進んだ。
杏「今は昼間だ!!鬼は出ない!!!」
菫が室内の灯りを点けると、若い男が丁度裏口から逃げようとしている所だった。