第44章 青い彼岸花
「わ、あ…っ」
菫は一面に咲く青い彼岸花に目を奪われ、思わず無邪気な声を上げた。
それを聞いた杏寿郎は菫が青い花を好んでいる事を思い出して頬を緩ませる。
杏「綺麗だな!一輪だけでも持って帰れないか訊いてみよう!!」
「はい!」
そんなやり取りを俊彦が複雑そうな顔で見つめていると先頭を歩いていた男が到着を知らせた。
「普通の家ですね。」
菫の言う通り、青い彼岸花に囲まれているという点以外には特に特徴のない、質素な家であった。
信「花岡先生!信三です!貴方を訪ねてきた人がいますよ!」
菫は先程の村人の様子を思い出しながら、『そんな言い方をしては怖がってしまうのでは。』と思った。
案の定、返事はない。
四人は顔を見合わせるともう一度家の戸に向き直った。