第44章 青い彼岸花
村というものは横の繋がりが強く固く、余所者などすぐに分かってしまう。
更に杏寿郎はなかなか目立つ風貌だ。
興味を持った村人達が寄って来た。
男「あんたら、何の用でわざわざこんな所に来たんだ?この山の向こうには何もないぞ。」
杏寿郎達がこれから山越えをしようとしているのだと勘違いした村人の一人が、少し心配そうにそう問うた。
俊「いえ、私達は花岡家に」
俊彦がそう口にした途端、村人達の顔が強張る。
杏寿郎はそれに気が付くと俊彦を止めた。
俊「炎柱様……?」
杏「あなた方が今思い浮かべたのは花岡家を害する者か。それとも花岡家そのものか。」
杏寿郎の問いの意味を悟った菫は喉をごくりと鳴らした。
(お館様が気に掛けた青い彼岸花。鬼舞辻に繋がる何かだとするのなら、鬼舞辻はそれを消したいと思っているかもしれない。その場合なら花岡家は保護対象だわ。でも鬼舞辻側の存在である場合も…、)