第44章 青い彼岸花
杏寿郎は前回と同様に大量の駅弁を買った。
そして移動中、絶えず『うまい!うまい!』と言いながら完食し、俊彦をとても驚かせた。
更に菫がそれを微笑みながら見守っていたので、笑顔を見た事がない俊彦はもっと驚いたのだった。
三人は名古屋に着くとすぐに俊彦の親戚の元へと向かった。
と言っても俊彦の家族とは交流が無いに等しい。
俊彦も訪ねるのは初めてであり、母に教えてもらった住所を頼りに随分と歩いた。
杏「この村かと思ったが更に奥…山の中だな!」
一人元気な杏寿郎がそう言うと、少し息を切らしている菫と、とても息を切らしている俊彦は了承を示すように頷いた。
杏「……少し休もう!」
相手が隊士なら休まなかったが、杏寿郎は俊彦の窶れ具合いを見て足を止めた。
俊「鬼狩り様はすごいな…。」
休みながらそう独り言を漏らす俊彦達を見る目があった。