第12章 二度目の邂逅
―――
その頃、日が暮れて早々に鬼を二体倒した杏寿郎は見廻りも兼ねながら自身の屋敷がある街へと向かっていた。
杏(今晩も清水は俺の帰りを予想出来るだろうか。もしそうなら何を夕餉に出してくれるのだろうか。)
そう思うと食べる事が好きな杏寿郎の口角は自然と上がる。
それと同時に腹が鳴り、杏寿郎は気合いを入れ直した。
杏「もう少しの辛抱だ!!」
―――
「……ふぅ。」
菫は街の入り口に着くと少し立ち止まって痛む体を休ませた。
その時―――、
杏「今晩は!!」
菫はまたもや敬愛する主人に出会ってしまった。
「こん、ばんは……。」
振り返って素直に挨拶をしたものの、菫の声は震えた。
(今日もお帰りが早いなんて…。杉本様を怒らせなければ間に合ったのに…、)
―――『その醜い痣が見えないように四六時中、頭巾を被ってろ』
杉本の事を思い出した時、唐突にその言葉が頭に響いた。
菫は目を見開くと頬を荷物で覆った。