第43章 対話
「杏寿郎様…、お約束した筈です。私はずっとお側にいます。ずっとお支えします。二人なら大丈夫です。」
確かにそんな約束をした事もあったが、その時は主従関係であった。
恋仲になった今それを言えば意味合いが違ってくる。
杏寿郎は菫がそんな事に気が付いてもいないのが残念なような、愛おしいような気がして、困った様に笑った。
杏「ああ、そうだったな。相変わらず君は頼もしい。」
それから二人は手を固く繋ぎ、家族との思い出や、これからの事について話した。
槇寿郎との対話については鬼殺隊に籍を置いているうちは難しいだろうという意見で一致し、菫が二十三になるまでは保留とする事になった。
杏「…………。」
年齢のリミットについては杏寿郎から提案した。
あと三ヶ月半で二十二になる菫はいつ結婚してもおかしくない年齢なのに、本人は何も言い出さなかったからだ。
杏寿郎は初め、菫が自身等親子に気を遣っているのかと思ったのだがどうもおかしい。
杏(結婚に対する意欲が無いと言う点に関しては本当だったのだろうか。)
杏寿郎はそう心配になってしまったが、幼い頃から許婚が居た菫はただ単に "行き遅れ" という言葉から縁遠く育った為に年齢について失念していただけであった。
そんな事は露知らず、杏寿郎は『結婚の申し入れは慎重にしなければ。』と思ったのだった。