第42章 恋仲
し「今回は目を瞑りますが、」
天「おーい!煉獄どこだー!!」
しのぶの顔から表情が消える。
その顔を見た実弥と杏寿郎と菫は同時に喉をごくりと鳴らした。
女の子「困ります!まだ面会は許可されていないはずですーっ」
天「許可は後で降りる場合もあるんだぜ。」
天元はそうめちゃくちゃな事を言いながら手当り次第に戸を開けて中に居る人を確認しているようだ。
その音は着実に近付いてくる。
天「最後の一室かよ!勿体ぶらせやがって!」
しのぶは無言で戸の方を向いた。
―――ガラッ
天「………………よ、……」
恐らく『よう!』と元気良く挨拶したかったのだろうが、天元は立ち塞がるように立っているしのぶを見ると勢いを失ってしまった。
四十センチ以上も小さい筈のしのぶからは冷や汗が止まらなくなるような威圧感を感じた。
天「あ、部屋間違えたわ。じゃあな、煉獄、言い付け破った不死川。」
実「お前もだろォがァ…!!」
天元は結局、脱出に失敗してしのぶに注意を受けた。
しかし、上弦を斬ったとはとんでもないニュースだ。
結局、弁えている行冥、人と関わる事に消極的な義勇、冷静な小芭内、従順で素直な蜜璃は来なかったものの、その後に無一郎まで押しかけてしまい蝶屋敷に柱は五人となってしまった。
無「どんな奴だったの?他の上弦の情報は?」
皆が知りたがったのはやはり上弦の強さだ。
杏寿郎は何度聞かれても嫌な顔一つせずに『一人では太刀打ち出来ない。今回はとても幸運だった。』と伝えた。
菫はその間、ひたすら気配を消し、なるべく会話内容を聞かないようにしながら上体を起こしていた。
柱を前に寝られなかったのだ。
杏寿郎はその様子を見て何度も眉を寄せていたが、菫が折れそうにない事を確信するととうとう口を開いた。