第42章 恋仲
杏「不死川!」
杏寿郎はしのぶの目を掻い潜って病室へ入って来た実弥に目を丸くした。
一方、実弥は杏寿郎が見知らぬ女と二人切りの病室になっている事に困惑するあまり鬼の形相になっている。
杏「不死川!どうした!ただ見舞いに来たという訳でもあるまい!」
杏寿郎がそう言うと実弥は普段の冷静な顔を取り戻した。
実「あァ。本当は一日くらい休ませるようにとお館様から通達があったんだが待ってらんねェからなァ。」
そう言うと部屋の隅にあった椅子を持って杏寿郎のベッド脇に置く。
実「まず、この女は何者だ。上弦との戦いについて聞きてェんだが、噂話のタネにされるのはごめんだぜ。」
その言葉に杏寿郎と菫は思わず顔を見合わせた。
そして杏寿郎がすぐ実弥ににこっと笑う。
杏「ああ、そうか!君は知らなかったな!彼女が清水菫さんだ!彼女も目撃者の一人なので目の前で何を言おうと持っている情報は然程変わらないだろう!!」
「風柱様、初めまして。ご紹介の通り、私は清水菫と申します。この様な服装でご挨拶する事をお許しくだ、」
実「待てェ!!」
菫が床に降りて挨拶しようとすると、意外に優しい実弥はすぐに止めた。
杏寿郎もその声に驚いて菫を振り返ると眉を寄せる。
杏「駄目だろう!君が無理をするのなら俺は絶食するぞ!」
「すぐに改めます。」
実弥は菫が留まってくれたのを確認すると、呆れたような面倒くさそうな顔をしながら椅子に座った。