第42章 恋仲
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善「あー…、上手くはいったみたいだけどしのぶさんに怒られてるよ。大声出したから。」
一方、三人になった病室では善逸が杏寿郎と菫の会話に耳を澄ませていた。
その様子に炭治郎は眉を顰める。
炭「人の会話を盗み聞きしては駄目だ!」
善「なんだよ、お前が気になるって言ったから聞いてやったんだろぉ!!」
そう喚く善逸の言葉を受け流して炭治郎は顎に手を遣る。
炭「それにしても煉獄さん、俺達をまとめて継子にするって本気なのかな。…いや、あの眼は本気なのだろうけども!」
そう言いながら病室を見渡す。
軽症の善逸と伊之助は半分宿として蝶屋敷を利用している。
つまり、体が自由な分やりたいようにやっている。
善逸が今手にしている饅頭は明らかに盗んできた物だし、伊之助はつまみ食いをし過ぎた所為で怒っているアオイに病室に詰め込まれ、絶賛不貞腐れ中だ。
そして、杏寿郎の食べる様子を思い出す。
炭(何だか嫌な予感がするなあ…。)
炭治郎はそう思うと眉尻を下げた。
炭(菫さんもなんだか変わっている気がしたし…。)
炭治郎がそんな心配をしていると、とある男が許可も得ずに蝶屋敷の玄関の戸を開けた。