第40章 無限列車―其の弐
猗窩座は人間ではない。
傷はすぐ塞がり、切れた腕もすぐ再生する。
肉体を構築するスピードが異常に速いのだ。
そして、それはつまり、薬の効きが速いとも言い換えられた。
増血剤を取り込んでしまった猗窩座の体はそれを即座に分解し、吸収し、体の一部に組み替えたのだ。
猗「あっ、ぐッ!!!」
猗窩座は苦しそうな声を出し、膝をついて顔を両手で覆った。
鬼が鬼である所以は無惨の血を有している事にある。
そして無惨の血は上弦と言えども自身の血液量に比べれば少量だ。
つまり、そのバランスは繊細なのだ。
負傷して再生した時とはまた異なり、外的要因から与えられた急激な変化に猗窩座の体は混乱した。
小さな薬であっても血に関した薬であった為に、その効果は抜群だったのだ。
猗「杏寿、ろう…!お前ともあろう者が…毒を使うなど卑怯な真似を…ッ!!見損なったぞ!!!」
猗窩座は激昂した。
"毒を使う" という行為に言い表せない程の嫌悪を覚えたのだ。